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イラストレーターおぐらみどりの日々雑記


by yama-humoto
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雪ふる

雪ふる_d0179044_1527092.jpg村に根雪の目安になると言われている銀杏の木がある。この木が葉を全部落とすと根雪になると…。
写真は11月12日に見に行ったとき。他のイチョウの木が葉を落としていても、この木はまだまだだった。近づいて行ってみると根元で母さんたちが銀杏を拾っていた。
雪ふる_d0179044_1526517.jpgそれからこのイチョウを見るたびに「まだまだだな」と「本当にあたるの?」という気持ちを交差しながら観察していた。そろそろ葉がなくなって来たなあ…という今日、雪が降った。しかも、どうやら本気モードの降り。でも、心のどこかで「やっときたか!」とも思っていた。秋になって周囲では畑を整理したり、家や植木に雪囲いを施したりして、もういつ雪が来ても大丈夫!と雪が降るのを待っていたと思う。ところが全然降らなくて、拍子抜けしていたというか、手持ち無沙汰というか、そんな雰囲気があった。雪が積もらないと次の季節の過ごし方に行けない…そんな感じ。
雪ふる_d0179044_15264169.jpg
こなきじじいにあらず。
雪が降るとやっぱりどんよりしてテンションが沈みがちになる。そこで、ちょっと変わった事をしてみることにした。
近所の納屋をほぐす時にもらってきた保存具合の良い蓑。実はずっと使ってみたかった。
まだここに越してくる10年くらい前かな?この蓑と笠のスタイルで雪下ろししている人を見た事がある。越して来てからは見た事が無いので、あの世代はあれが最後だったのかもしれない。
試しに着てみると軽くて蒸れなくて、しかも背中と肩がふわっと暖かい。雪が中に沁み込んでこないし、保温性はあるし、なにより稲刈りした後の藁でつくる。人間が生活して来た中で生み出して来た技と知恵が詰まっている。使ってみるとなんだか楽しくなって来た。
これで笠があれば完璧なんだけど…
雪ふる_d0179044_15263475.jpg
妖怪のイメージもある?せいか、見た目おどろおどろしいけれど、よくよく見るとすごい技が見受けられるのです。
表は雪や雨が入り込まないようにバサバサの段に。中は帷子のように精巧に編み込まれているので、着た時にごわごわしない。
ところどころ、藁とは別の素材が編み込まれているのだけれど、今では手に入りにくいモノと聞いた事がある。アクセントのように編み込まれているのは、なにか意味があるのだろう。山形の方の蓑には山葡萄かなにかのつるを使った豪快なものもみたことがある。

雪ふる_d0179044_15262698.jpg
宙に吊るして蓑を編んでいる古い写真を見た事がある。
美しい編み目にうっとり。
これは人の手で生み出されている。企業や工場ではなく、村人の手から。
これってすごい事だと思う。残念ながら、作り手も技も消えつつある。
by yama-humoto | 2014-12-02 15:23 | 日々